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我無人さんに拠る『ギョームは暖まりに行く』の解説です。
この曲については、グラレアーヌスの音楽理論書Dodecachordonに次のような逸話が伝わっています。
「フランス王ルイ12世は貧弱な声の持ち主であったが、合唱隊長であったジョスカンに、自分も歌えるような歌を作るように頼んだのである。 王が全然音楽を知らない事を知っていた彼は、少し考えた後「主たる王様、私はあなたの栄誉に歌う場所が与えられるような歌を作りましょう」と語った。 次の日に王が朝食を取り、音楽を聴きつつ休憩していると、彼は曲を持って来た。その歌は、二人の少年が同じテーマをカノンで十分繊細に弱く歌って、王の明らかに弱い声を聞こえなくしないようにし、王の声部は一音のみからなり、なおかつバスも半拍毎にオクターブで同じ音を歌い補強していた。王はその機智を喜び、報賞を与えて帰した」(要旨)。 曲の内容は明らかにこの逸話の内容に即したものですが、ジョスカンの逸話は今や多くが真実性を疑われており、この曲の逸話も本当かどうかは確かめようがありませんし、ジョスカンの作とするには余りにも単純な曲とも思えます。 とはいえ、ここまで大胆に単純化する手法も、逆にジョスカンの天才的ひらめきの一つの現れと言えるかもしれないわけで、真偽の判断は難しいと思われます。
MIDIで、王様の声は貧弱で不安定なものになっています。
ピッチベントとビブラートの為せる技だとか。 こういう笑えるMIDI大好きです。 我無人さん、有り難うございました! |